「仏壇って自分で移動しても大丈夫?」
「移動する前にどんな儀式が必要?」
仏壇は、ご先祖に感謝の気持ちを捧げたり、ご本尊にお祈りをしたりするための神聖な家財です。重要な存在であるがゆえに、引っ越しが近づいてくるにつれ、取扱いに迷ってしまいますよね。
仏壇はほかの家財と違って、移動させるときに儀式が必要です。そのため、通常の引っ越しとは異なり、準備すべきお金や移動方法なども違ってきます。
今回は、仏壇をお持ちの方がスムーズに引っ越しできるよう、業者の相場や必要な準備、移動方法などを解説していきます!
引っ越しを機に仏壇を処分する方法もお伝えするので、買い替えを検討している方もチェックしてみてください。
仏壇は引っ越しの際に移動させても大丈夫?
![仏壇は引っ越しの際に移動させても大丈夫?](https://www.karugamo.co.jp/contet/wp/wp-content/uploads/2023/05/no050-a.jpg)
仏壇は一般的な家具とは違って神聖な仏具であることから、そもそも引っ越しの際に移動させても大丈夫なのか、気になっている方も多いですよね。
モヤモヤした状態で仏壇を移動すれば、引っ越し後に後味が悪く感じてしまいます。
そこで、引っ越しの際に迷いなく仏壇を移動できるよう、仏具店の見解やSNSの体験などをリサーチしてみました!
仏具店の見解をリサーチした結果
お仏壇のはせがわ
仏壇販売を手掛けるお仏壇のはせがわはホームページで、「基本的には移動させないほうがよいが、やむを得ない場合は問題ない」という見解を示していました。宗派や寺の方針によっては、移動の前後に魂抜きと魂入れが必要になるとのことです。
なお、魂抜きと魂入れとは、一時的に仏壇から仏様を外に出す儀式です。仏壇を移動させるときに仏様の居心地が悪くならないようにするために行われます。
参考:そもそも、お仏壇は移動させても問題ないの?(お仏壇のはせがわ)
八木研
現代仏壇で知られる八木研はホームページで、仏壇の種類の一つである上置きタイプ(チェストなどに置くコンパクトな仏壇)について、引っ越しや移動も簡単という見解を示していました。引っ越しや移動は必要だという前提のようです。
SNSで体験をリサーチした結果
SNSでは、たくさんの方が仏壇を移動した体験を報告しています。基本的に仏壇は引っ越しの際に移動させても問題がないようです。
住職にお経を唱えてもらってから、移動を完了している方も見受けられました。仏壇の移動について迷ったときは、お寺に確認するのが無難なようです。
そのほか、引っ越しのために仏壇を移動したとき、亡くなった親御さんからの手紙を発見した方もいました。仏壇の移動が感動的なエピソードをもたらすこともあるようです。
仏壇を引っ越しする方法と業者の費用
![仏壇を引っ越しする方法と業者の費用](https://www.karugamo.co.jp/contet/wp/wp-content/uploads/2023/05/no050-b.jpg)
仏具店の見解やSNSの体験をふまえると、基本的に仏壇を引っ越ししても問題がないことがわかりました。
ただ、仏壇はどのように移動すればよいのか、わからない方もいますよね。業者の費用はどれくらいなのか、自分でも運べるのか、気になるところです。
引き続き、仏壇を引っ越しする方法について業者の費用とともに解説していきます!
仏壇輸送の専門業者に依頼する
あまり知られていないかもしれませんが、仏壇輸送の専門業者が存在しています。仏壇の搬出・搬入・設置だけでなく、魂抜きや魂入れ、飾りつけなど専門的な対応まで依頼できます。費用の目安は4万円~です。
破損したときに保険を適用できる業者もあります。とにかく仏壇を安心して移動させたい方に適しています。
引っ越し業者に依頼する
引っ越し業者は仏壇の移動を専門とはしていませんが、運搬を依頼することは可能です。
運搬のノウハウに特化しているので、運び出しが難しそうな仏壇に関しても移動してもらいやすくなっています。たとえば、ふすまの内側にある仏壇などでも対応できる場合があります。
費用については、通常の家具と同じように仏壇を運搬することから、具体的な料金が定められていないようです。
仏壇の移動に必要となる魂抜きなどには対応していない場合があります。そのため、近隣の寺に専門的な儀式について別途依頼する必要もあります。
自分で運搬する
仏壇は引っ越しの際、車に乗せて自分で運ぶことができます。
ただ、引っ越しの際に自分で運搬をするとき、魂入れを独自に行えるのか、気になる方もいるでしょう。
一般的に、仏壇を購入したときに僧侶がお経を唱えることで魂入れを行っており、魂抜きをするときにも同様の作法によってお経を唱えてもらう必要があるといわれています。
専門的な儀式である以上、自分達で魂抜きをするのは難しく、仮に実施したとしても方法が誤ってしまえば、引っ越し後に気になってしまうでしょう。
自分で仏壇を引っ越しするときは、近隣の同宗派の寺に相談することを検討してみてください。
仏壇を引っ越すときに実施する儀式
![仏壇を引っ越すときに実施する儀式](https://www.karugamo.co.jp/contet/wp/wp-content/uploads/2023/05/no050-c.jpg)
すでに仏壇の移動をともなう引っ越しでは、旧居での魂抜きと新居での魂入れの儀式が必要になることがおわかりいただけたと思います。ただ、魂抜きと魂入れの呼び方はさまざまあり、宗派によって考え方も異なるのが実情です。
引っ越しを正しく進めるために、魂抜きと魂入れについて詳しく理解しておきたい方もいると思います。
ここでは、旧居での魂抜きと新居での魂入れの儀式について詳細を解説していきます!
旧居での魂抜き
魂抜きは仏壇に宿った魂を抜くための儀式です。「開眼供養」「お精抜き」「抜魂」なども同じ意味を持っています。宗派によって考え方が異なり、たとえば、浄土真宗では魂という概念がないことから、魂抜きという言葉は使いません。
儀式ではシンプルに旧居にお坊さんをお迎えして、仏壇の前で読経をしてもらいます。基本的にはお坊さんの儀式を後ろで見守る流れです。
自宅で魂抜きをする場合は、普通の服でも問題はないようです。ただ、派手な服や露出が多い服は避けたほうが無難だといわれています。
新居での魂入れ
魂入れとは、仏壇を移動したあとに再び魂を入れるための儀式です。魂入れをすることで仏壇に向かって拝むことができるようになります。
「開眼供養」「開眼法要」「お性根入れ」などと呼ばれることもあります。魂抜きと魂入れはセットで行わなければなりません。
魂入れでは、魂抜きと同様にお坊さんを自宅に招いて読経をしてもらいます。
仏壇を引っ越すときに必要な準備
![仏壇を引っ越すときに必要な準備](https://www.karugamo.co.jp/contet/wp/wp-content/uploads/2023/05/no050-d.jpg)
仏壇は通常の家具よりも慎重な移動が求められるほか、魂入れや魂抜きなどの儀式が必要になることから、引っ越しをする際には細かい準備が必要になります。
引き続き、仏壇を引っ越すときに必要な準備をまとめてみます!
包装資材
自分で仏壇を梱包する場合は、扉が開かないようにしてから、大きな毛布などで包装して保護します。
位牌や本尊などを包装するときの資材として、白い布やタオル、風呂敷、緩衝材、新聞紙などが適しているといわれています。
仏具には、仏飯杯や花立て、木魚などさまざまな種類があるので、形状や仕様に応じた梱包が必要です。包装資材について不明な点があれば、寺に確認をしておくと安心です。
ビニール袋
仏具には線香を立てるために使う香炉があります。
香炉には灰が残っているので、飛び散らないようにビニール袋を被せて梱包します。あるいは、香炉から灰をビニール袋に移しておくのも一つの方法です。
必ず火元が残っていないか確認するようにしましょう。
儀式用品
魂抜きや魂入れのために、お坊さんにお経をあげてもらうとき、いくつか必要なものがあります。
具体的な準備は下記の通りです。
- 数珠
- 座布団
- 生け花
- ろうそく
- マッチあるいはライター
そのほか、果物をお供えするケースも多くなっています。
宗派によって必要な準備が異なるので、身内や親せき、最寄りの寺などに確認しましょう。
お布施や車代
儀式の際には基本的にお坊さんにお布施を渡す必要があります。たとえば魂抜きを行ってもらうときの相場は1~3万円ほどです。死を連想させる4万円は避けるようにしましょう。
また、お坊さんに自宅まで車で来てもらう場合は、車代として5,000円ほどを支払います。送迎の車を手配したり、自分で送迎したりする場合は不要です。
仏壇を設置できる場所
![仏壇を設置できる場所](https://www.karugamo.co.jp/contet/wp/wp-content/uploads/2023/05/no050-e.jpg)
引っ越しで仏壇を移動させるときに準備すべきことをご説明しました。準備と同様に気になる事柄として挙げられるのが、仏壇の設置場所ではないでしょうか。
仏壇というと、一軒家の広い和室に安置されるイメージを持つかもしれません。しかし、引っ越しをしてマンションやアパートなどで暮らす場合もあり、設置場所に迷うことがあります。
基本的には、マンションやアパートの居間や寝室などに仏壇を設置しても問題ありません。
和室の畳ではなく、フローリングの上に設置することも可能です。スペースが不足する場合であれば、コンパクトな仏壇を家具の上に設置することもできます。
ただ、トイレや物置の隣などでは清々しい気持ちを保てません。
また、直射日光や冷暖房の風が当たる場所、湿気のある場所も避ける必要があります。常識の範囲内で設置場所を検討しましょう。
引っ越しで仏壇を移動させるときの流れ
![引っ越しで仏壇を移動させるときの流れ](https://www.karugamo.co.jp/contet/wp/wp-content/uploads/2023/05/no050-f.jpg)
引っ越しで仏壇を移動させるときの方法や儀式、準備などはわかったけれど、やることがたくさんあって混乱してしまった方もいますよね。
引っ越しの手順を整理してみると、仏壇を移動するときの流れは意外と複雑ではないことがわかります。
ここでは、引っ越しで仏壇を移動させるときの流れについて解説していきます!
お寺に供養の依頼を行って日程を決める
自分が属する宗派の寺に魂抜きと魂入れの儀式を依頼して日程を決めます。
魂抜きは、引っ越しの当日に行わなければならないわけではありません。引っ越し当日の負担を減らすためにも、目安としては1週間前には完了しておくのが望ましいです。
魂入れは、新居で行わなければなりませんが、遠距離だと同じお坊さんに依頼するのが難しい場合があります。
遠方に引っ越す場合は、転居先のエリアにある同じ宗派の寺を紹介してもらえないか、お坊さんに相談してみましょう。
輸送業者を利用する場合は儀式の日程を伝える
引っ越し業者に仏壇の移動を依頼する場合は、担当者に儀式の日程を伝えて具体的な引っ越し日について相談します。魂抜きはあくまで旧居で行わなければなりません。引っ越し日は儀式のあとになるように設定しましょう。
なお、仏壇の専門輸送業者の場合は、提携している寺からお坊さんを手配することがあります。知り合いのお坊さんに儀式を依頼していることを伝えて、供養代金を差し引いてもらえないか相談してみましょう。
もちろん、依頼できる寺が見つからなかった場合は、提携している寺に儀式をお願いしてもらうことも可能です。
旧居で魂抜きを行ってお坊さんにお布施を渡す
旧居でお坊さんに仏壇の魂抜きを行ってもらいます。儀式の時間はおおよそ15分ほどです。
すでにお伝えした通り、お坊さんには儀式の対価として、お布施を渡す必要があります。
お布施は現金をそのまま支払うのではなく、お布施袋といわれる袋にいれて手渡すのが一般的です。コンビニでも購入できる白い無地の封筒でも問題ありません。上部に漢字でお布施と記入しましょう。
また、直接手渡ししたり床の上に置いたりするのは失礼な行為です。おぼんなどの上に乗せて渡しましょう。
引っ越し前日までに外せる部分は外しておく
仏壇をそのまま移動すると、部品がガチャガチャと動いてしまいがちです。仏具や高欄(こうらん)、扉などの取り外せる部品は引っ越し前日まで外しておきましょう。
灯ろうが付属している場合も同様に外します。コンセントをさしたまま外すとショートしてしまう恐れがあるので、必ず抜いてから外しましょう。
すべて外したあとは、扉の接触部分が傷つかないように、タオルや薄い布などを挟んで養生をします。
新居に仏壇を運搬して設置する
仏壇を移動させる準備が整ったら、新居に運搬して設置します。
仏壇を移動させるときに傷がついてしまう恐れがあるので、基本的には毛布や厚めの布などで包んで養生をしておくと安心です。
和室に配置するときには仏壇の傾きを確認する必要があります。畳みの縁に乗ってしまうと仏壇が傾いてしまい、扉が勝手に開いてしまうこともあるようです。
仏壇を新居に移動させるときは、畳の縁に乗せずに水平に置くことを意識しましょう。
仏壇を原状復帰する
仏壇を設置したら、旧居にあったときの状態と同じになるよう、原状復帰しましょう。仏具や装飾品を正しい位置に設置していきます。
なお、仏壇の専門輸送会社の場合は、取り外した仏具や装飾品に関して原状復帰まで対応してくれます。仏壇を元通りに装飾できる自信がない場合は、専門輸送会社の利用を検討してみるとよいかもしれません。
引っ越し業者は、仏壇の運搬を専門としているわけではありませんが、サービス利用者の要望に柔軟に対応してくれるケースが多いです。仏具や装飾品の原状復帰に対応してもらえるかどうか、事前に確認しておきましょう。
新居で魂入れを行ってお坊さんにお布施を渡す
新居で魂入れを行ってお坊さんにお布施を渡します。魂入れが完了すれば、仏壇の引っ越しも完了です。引っ越し前と同様に仏壇を拝めるようになります。
魂入れを行ったあとに新生活を送っていく中で、再び仏壇の配置を見直したくなることもあるかもしれません。同じ室内で別の場所に移動させる場合であれば、魂抜きや魂入れの必要はないといわれています。
ただ、別の新しい部屋に移動させる場合は、魂抜きと魂入れが必要になるとのことです。
再び儀式を行うのには手間や費用がかかるので、魂入れを行う前に仏壇の設置場所をよく検討しましょう。
引っ越しで仏壇を移動させるときのポイント
![引っ越しで仏壇を移動させるときのポイント](https://www.karugamo.co.jp/contet/wp/wp-content/uploads/2023/05/no050-g.jpg)
引っ越しで仏壇を移動させるときの手順についておわかりいただけたでしょうか。
ただ、仏壇の引っ越しが初めてだと、ほかにも気になる疑問がたくさんあるかと思います。
引き続き、引っ越しで仏壇を移動させるときのポイントについてまとめてみます!
写真撮影をしておく
仏壇には仏具が配置されているため、位置を動かすと元に戻せなくなる恐れがあります。
引っ越し後に元通りにできるよう、移動前にデジタルカメラやスマートフォンなどで写真を撮影しておいたほうが無難です。
また、業者が仏壇を破損させてしまった場合にも写真を証拠として提示できます。トラブルを防ぐためにも写真撮影は効果的です。
破損や水漏れなどに注意して梱包する
照明類や装飾類に関しては、破損しないように対策が必要です。タオルや緩衝材で保護・固定しましょう。
花立てに関しては水が漏れてしまう恐れがあります。十分に水分を拭き取って乾燥させてから梱包することが大切です。
仏壇を横にして運ばない
仏壇には扉があり、横に倒した拍子に破損してしまうリスクがあります。
そのため、仏壇を運ぶときは横にならないようにするのが基本です。トラックで移動させるときも横に倒さず固定して運びます。小さな車で運ぶときは助手席に乗せて固定しましょう。
仏壇のサイズが大きい場合は、車に乗らないことがあるかもしれません。無理に解体すると仏壇が壊れたり傷ついたりする恐れがあります。業者に専用車で運んでもらうことも検討しましょう。
重要なものや高価なものは自分で運ぶ
遺影やご本尊、位牌などは、お金の価値では測れない重要なものです。紛失や破損のトラブルに見舞われてしまえば、大きなショックを受けてしまいます。
また、高価な仏具もトラブルが起きたときに補償が受けられない可能性が高いです。
したがって、重要なものや高価なものは業者には依頼せず、自分で移動させたほうが無難です。なお、遺影やご本尊、位牌については白い布に包むのが一般的だとされています。
基本的に日取りや方角は気にする必要はない
大安や友引などの六曜は中国の思想であることから、インドの思想である仏教とは関係がないようです。また、仏教ではいずれの方角にも仏が存在するという見解もあります。
したがって、仏壇を引っ越しするときには、日取りや方角を特に気にする必要はないといわれています。
ただ、年配者の方は六曜を気にする傾向があります。円満に引っ越しできることが重要なので、必要に応じて六曜の考え方も取り入れましょう。
仏壇の搬出・搬入には順番がある
見落としてしまいがちですが、仏壇の搬出・搬入には順番があります。
仏壇を旧居から搬出するときは、先に家具や家電などすべての荷物を運び出します。
その一方で仏壇を新居に搬入するときは、仏壇を設置したあとに家具や家電などすべての荷物を運び入れます。
なお、仏壇の飾り方については特に順番が決まっていないようです。ただ、順番を決めておいたほうが、仏壇やほかの仏具を傷つけずにスムーズに飾れます。
仏壇の掃除方法
![仏壇の掃除方法](https://www.karugamo.co.jp/contet/wp/wp-content/uploads/2023/05/no050-h.jpg)
仏壇を移動させるときのポイントをお伝えしました。そのほか、移動の際に押さえておきたいポイントとして仏壇の掃除も挙げられます。
引っ越しでは儀式が必要でしたが、お供えものを準備するだけでなく、仏壇を掃除しておいたほうがよいといわれています。
仏壇の掃除と聞くと素人が行ってよいのか悩むかもしれませんが、特に問題はありません。自分で掃除したほうが仏様やご先祖様が喜ぶという見解もあります。
ここでは、儀式に向けて自分で仏壇をスムーズに掃除できるよう、清掃で必要になる道具や手入れの手順を解説していきます!
掃除で必要になる道具
仏壇の掃除で必要になる道具は下記の通りです。
道具 | 備考 |
---|---|
毛ばたき | 仏具店で使われる仏壇専用のはけ |
化粧筆 | 細かい部分の掃除できる |
綿棒 | 細かい部分を掃除できる |
クロス | 掃除用のきれいな布 |
使い古しの布 | 毛羽立ちが少ないTシャツや肌着など |
破れたストッキング | 使い古しの布で拭いたあとに使うと光沢を出せる |
白手袋 | 軍手でなく貴重品を扱うときに使う薄地の布手袋 |
マスク | ほこりを吸わないようにするために着用 |
ロウ落とし | ろうそくのロウを落とせる |
金属磨き粉 | 真鍮製の仏具を磨ける |
艶だし液 | 艶や色の深みを出せる |
新聞紙 | 畳やフローリングを傷つけないように仏具を置ける |
ティッシュ | 微量のほこりを拭き取れる |
掃除の流れ
掃除道具を準備したあとは下記のステップで清掃を進めていきます。
- 仏壇の前で合掌礼拝する
- 手袋とマスクを着用する
- 仏壇から仏具を取り出す
- ほこりをやさしく除去する
- 仏壇の内側を掃除する
- 仏壇の外側を掃除する
- 仏具を掃除する
引き続きそれぞれのステップについて詳細を解説していきます。
掃除を始める前に合掌をして礼拝をしましょう。「掃除をさせていただく」という謙虚な姿勢を伝えます。礼拝が終わったら、仏具の並べ方がわからないように写真撮影までしておくと安心です。
掃除をする前に白手袋をはめます。仏壇の掃除をするとほこりが舞いやすくなるので、窓を開けておきましょう。ほこりを吸わないようにマスクをしておくと安心です。
仏壇の中からすべての仏具を取り出して、掃除をしやすいようにします。取り出した仏具はテーブルや新聞紙の上に置いておきます。掛け軸や吊灯篭など外せないものはそのままの状態でも問題ありません。
金箔部分がある場合、仏具があたるとはげてしまう恐れがあります。仏具はゆっくりと慎重に取り出しましょう。
仏壇のほこりを毛ばたきで除去していきます。下から上を掃除すると上のほこりが下にたまってしまいます。上から下の順番できれいにしていきましょう。
力を入れ過ぎると彫刻や細工が破損する恐れがあります。優しくほこりを落とすことが重要です。
クロスなどで仏壇の内側を軽く拭いていきます。仏壇は基本的には木製なので、水拭きではなく乾拭きが基本です。乾拭きの後は艶出し液で仕上げて艶と色の深みを出します。
なお、金仏壇の場合は拭き掃除で金箔がはげてしまう恐れがあります。金箔部分は、はたきでほこりを除去するのにとどめ、拭き掃除はしません。
仏壇仏壇の外側も同様にクロスで軽く拭いていきます。ローソクや線香の油煙で汚れがひどい場合、仏壇専用クリームをつけて拭くことも検討しましょう。
専用クリームがないとき、市販の洗剤やアルコールを代用したくなるかもしれませんが、破損や変色の原因になるので利用は禁止されています。
仏具を掃除します。種類によって細かく掃除方法が異なるので、事前に確認しておきましょう。
仏像
仏像は基本的に拭き掃除が適していないため、軽くほこりを払います。細かい部分は化粧筆だと掃除がしやすいです。
位牌
基本的に毛ばたきでほこりを払い落し、礼板の脂汚れは柔らかいクロスで拭き取ります。金箔や金粉部分は、手で触れてしまうとはがれてしまう恐れがあるので注意してください。
見台・前卓・高坏
見台・前卓・高坏など、木製で表面に塗り物がされている仏具は、ほこりを払って柔らかいクロスで水拭きします。乾いた布で完全に水気を拭き取りましょう。
おリン・リン棒・リン布団
おリンなどの真鍮製の仏具は、基本的に金属磨き粉(真鍮磨き)で磨きます。素手で行うと手が荒れてしまうので注意しましょう。リン棒・リン布団については掃除が難しいので、汚れているときは買い替えを検討します。
掃除の頻度とタイミング
引っ越し間際に仏壇の内側・外側・仏具を掃除するのは負担が大きいですよね。少しでも負担を減らせるよう、汚れに気がついたときにほこりを落とすなど、日ごろから掃除を意識しておきましょう。1週間に1回の頻度で外側の乾拭きまで行っておくと望ましいです。
毎日仏壇を拝んでいない方でも、正月やお盆、お彼岸の際に仏壇を拝むことがあります。それぞれのタイミングにしっかり手入れをしておくだけでも、引っ越しするときの掃除が楽になるはずです。
なお、仏壇にとって湿気は天敵であり、ジメジメした日に掃除すると、カビが生えてしまう恐れがあります。梅雨の時期や雨の日などの掃除は基本的に避けましょう。
引っ越しまでに時間がないと、雨の日に掃除せざるを得ないケースもあるかもしれません。その場合は、掃除をしたあとにていねいに乾拭きし、エアコンで室内の湿度を下げるようにしましょう。
掃除の注意点
ここまでお伝えしたように、仏壇や仏具は毛ばたきでほこりを除去して、やわらかい布で拭くのが一般的な流れです。
ただ、仏壇や仏具は掃除の方法を誤ると状態が悪くなってしまうことがあります。
たとえば、おリンの掃除は金属磨き粉で磨くとお伝えしましたが、表面にコーティングがされている製品であれば、はがれてしまうと変色スピードが速くなってしまうようです。
このように正しいと思っていた方法が仏壇や仏具に悪影響を与えるリスクがないとは言い切れません。
本記事でも、引っ越し業者の観点から慎重なリサーチにもとづき掃除方法をご説明していますが、少しでも不安があれば仏具店やお坊さんなどに確認をするようにしましょう。
引っ越しを機に仏壇を処分する方法
![引っ越しを機に仏壇を処分する方法](https://www.karugamo.co.jp/contet/wp/wp-content/uploads/2023/05/no050-i.jpg)
ここまで引っ越しで仏壇を移動させるために必要な知識をお伝えしました。ただ、古くなった仏壇を新居に移動させるのではなく、処分したい方もいるかもしれません。
仏壇を処分する方法はさまざまありますが、それぞれメリット・デメリットが異なり、状況に適した選択をする必要があります。
引き続き、引っ越しを機に仏壇を処分する方法について解説していきます!
菩提寺に依頼する
仏壇の処分は基本的に先祖代々の墓がある菩提寺に依頼します。
日頃から法要などでお世話になっている関係なので、信頼して処分を依頼しやすいです。
ただ、仏壇を自分で寺に運搬しなければならない場合があります。また、処分するときにお布施が求められることもあるようです。
菩提寺がないのであれば、同じ宗派の寺に相談してみると対応してもらえる可能性があります。
仏具店に依頼する
仏具店に仏壇の処分をお願いする方法もあります。
たとえば仏具店では、新しい仏壇の購入を条件として、古い仏壇を無料で引き取って供養してくれるキャンペーンを実施することがあります。
処分費用を気にせず仏壇を処分できるのが魅力です。購入と同時に店舗で申し込める点も気軽だといえます。
ただ、条件に最低購入価格が設定されていると、高価な仏壇を購入しなければならない場合があります。また、大きい仏壇を処分する場合や購入日からすぐ処分する場合、対象地域外で処分する場合などは有料になることがあるようです。
キャンペーンの詳細を確認したうえで有効活用してみましょう。
仏壇専門の処分業者に依頼する
仏壇の処分を専門に行っている業者も存在しています。
仏壇の運び出しから運搬、供養、焼却までをワンストップで依頼できます。回収までに特別な準備も不要です。供養証明書を発行してもらうことも可能であり、仏壇を正しく処分できるか不安な方におすすめできます。
ただ、高額な処分代金を要求する悪質な業者も存在しています。処分業者の信頼性をよく見極めて依頼することが重要です。
自治体のルールにもとづき粗大ごみに出す
仏壇は自治体のルールにもとづいて粗大ごみに出すことも可能です。
たとえば、横浜県では事前申し込みをすることで、仏壇を有料で収集してもらえます。仏壇の手数料は1,000円です。
手数料は指定された金融機関や郵便局、コンビニなどで納めます。
自治体であれば悪質な業者に高額な処分代金を要求されるリスクはありません。ただ、仏壇をごみとして処分するのに抵抗を覚える方もいるかもしれません。
また、儀式を行ってもらえるかどうかが不明なので、自治体や粗大ごみ受付センターに問い合わせが必要です。
仏壇買取サービスを利用する
特定の宗派を対象とした仏壇の買取サービスもあります。運送会社を経由して店舗に仏壇を送り、査定が完了すると口座にお金を振り込んでもらえます。
仏壇を売却してお金が得られるので、引っ越し費用にあてることができます。買取価格の目安は10,000円~200,000円です。
ただ、買取りの条件が厳しく、必ず査定してもらえるとは限りません。たとえば、宗派が違う仏壇や、傷・塗装のはがれがある仏壇などは対象外となる可能性が高いです。
仮住まいに引っ越すときに役立つ仏壇のサービス
![仮住まいに引っ越すときに役立つ仏壇のサービス](https://www.karugamo.co.jp/contet/wp/wp-content/uploads/2023/05/no050-j.jpg)
実家に仏壇を配置しているケースでは、世帯主が自宅で過ごしていれば、引っ越しをする必要を感じないかもしれません。
ただ、実家の建物が古くなって建て替えるとき、仮住まいに引っ越すことになるため、仏壇も移動させるケースが多くなっています。
ただ、仏壇を仮住まいに移動してから再び新居に移動するのは手間がかかります。
そこで便利なのが仏壇の預かり・保管サービスです。
仏壇の建て替えやリフォームを行うときに仏壇を短期的・長期的に預かって保管してくれます。仏壇だけでなく仏具や小物なども梱包して保管してもらえます。ただ預かるだけでなく、お坊さんに供養を実施してもらえるのが一般的です。
相場は1か月あたり約8,000円となっています。
当初の予定よりも建て替えやリフォームに時間がかかるときは、預かり期間を延長してもらえることもあります。
適切な環境で仏壇を預かってもらえますが、日焼けやひび割れ、カビなどの発生に不安を感じる方もいるかもしれません。
トラブルが気になるのであれば、賠償保障に対応したサービスを利用するようにしましょう。
まとめ
![まとめ](https://www.karugamo.co.jp/contet/wp/wp-content/uploads/2023/05/no050-k.jpg)
今回は引っ越しにおける仏壇の取扱いについて解説しました。
大前提として仏壇は、引っ越しのようにやむを得ない場合は、移動させて問題ありません。ただ、仏壇を移動させるときは、魂抜きと魂入れの儀式を行う必要があります。
仏壇は自分で車に乗せて運ぶことができますが、儀式についてはお坊さんにお経を唱えてもらうのが基本です。引っ越し業者を利用する場合は、儀式の日程が決まってから転居のスケジュールを相談する必要があります。
仏壇を移動させるときは、遺影やご本尊、位牌などを運ぶことがあります。いずれもお金の価値では測れない重要な物です。紛失・破損のトラブルを回避するために、白い布に包むなどして自分で移動させたほうが無難です。
仏壇は儀式に備えて掃除をしておくことが望ましいといわれています。基本的には、はたき掃除でほこりを落とし、乾拭きを行う流れです。
ただ、仏壇や仏具の種類によって掃除のルールが異なります。仏壇と仏具を劣化させてしまわないよう、仏具店やお坊さんに掃除方法を確認しておくと安心です。
このように、引っ越しで仏壇を移動するときは、通常の家財と比べて依頼や準備に手間がかかります。スムーズに引っ越しを進めるには、経験が豊富な業者を選ぶことが大切です。
カルガモ引越センターは、200万件超の引っ越し実績を持つ業者です。これまで培ったノウハウをもとに仏壇の移動をともなう引っ越しに柔軟に対応いたします。
電話やLINE、ZOOMなどさまざまな方法で見積もりに対応しています。無料見積もりフォームを利用する際は、荷物リストで「仏壇大」「仏壇小」という項目を用意しているので、該当するサイズ感にチェックマークを入れて申し込めます。
仏壇の移動をともなう引っ越しを検討している方は、ぜひカルガモ引越センターまでご相談ください。